inmylife

みたもの記録

【舞台】ミュージカル「モーツァルト!」韓国公演(配信) 

 

今年の目標の一つは、〈韓国にミュージカルを観に行くこと〉だった。きっかけは年始に観劇したミュージカル「フランケンシュタイン」で、もともと韓国発のこの作品、日本では再演ということもあって事前情報が豊富だった。日生劇場に通った1月は、韓国版のサントラが移動中のBGMだった。そんなふうに少しずつ“韓ミュ”の魅力を知る機会が増えていき、ついには「現地で観たい!よし、まずはパスポート取ろう!」と、けっこう本気で計画を立て始めていた矢先。あっという間にそれが難しい世の中になってしまった。

  

「韓ミュが観たい!」から出発した、2020年韓国カルチャーの旅は、この半年くらいで次から次へと行き先を変えながら、現在進行形で今も続いている。世間の波に乗って、もれなく愛の不時着にもハマったし、韓国文学への熱がより高まったし、あらためて、映画における表現が豊かな国だなと実感してる(前記事で書いた「はちどり」は相変わらずアツい)。

inmylife181.hatenablog.com

 

その流れで「あとはK-POPにハマるだけだ〜」なんて言ってたら、今やBTSにすっかり頭まで浸かってしまっているという、目まぐるしさ。というか自分で立てたフラグを回収しただけとも言う。思った以上に楽しい。

 

この休み中も、まずはBTSの映像を見る時間にあてよう、そして読みかけの本を完走して、あたらしい本を読み始めようかと思っていた。そしたら、ツイッターを流れてゆく「『モーツァルト!』韓国公演ライブ配信」の文字。

natalie.mu

でも、これを目にした瞬間はすぐチケットを買おう!とはならなかったんだよな…今思うと。いろんな舞台やライブの配信を購入したものの、一度も見れずにアーカイブ期間終了、なんていうアホみたいなことを1度2度…いや、3度くらいやっちゃってたから、自分は配信を買わないほうがいい人間なんだ、という気持ちになりかけてた。

 

そして昨日、8月9日深夜。

ツイッター見ながらふと思い立って、なぜか急に「韓国版モーツァルト、見ない手はないんじゃ…?」という気持ちが湧いてきた。ほんとになんでか分からないけれど(笑)家にいるタイミングで、しかもちゃんと日本語字幕付きで視聴できる。韓ミュ初心者(というか観てすらいない)な自分にとっては、「こんなラッキーなことはないかも」と思い、ひとまずキャストとスケジュールを検索。

3人並んだビジュアルを眺めて、なんとなくピンときた人がパク・ガンヒョンさんという俳優さんだと知る。どうやら、モーツァルト初出演らしい。ライジングスター(今勢いのある若手的な意味)とも呼ばれているらしい。え、エリザベートでルキーニ演じてたの?何それ気になる。でも他2人も知りたいし、まずは歌声聴いてみよう。

そして出てきたのがこれ。

youtu.be

「影を逃れて」!!!!歌、めちゃうま……(当たり前)しかもレコーディングと稽古のようす…!なんておいしい映像なんだ!と興奮してしまった。実はモーツァルト日本公演すら、過去チケット争奪戦に破れて観れておらず。なので楽曲だけやたら聴いてるみたいな状態。歌声もビジュアルも好きな雰囲気だなと思い、ここはいっちょガンヒョンさんのヴォルフで“はじめてのモーツァルト”を体験するか、と深夜1:47にポチった。

 

「僕こそ音楽」(公開稽古的な?)

youtu.be

「愛していれば分かり合える」(最初のコンスタンツェ連呼がかわいい笑)

youtu.be

主演3人によるティーザー映像

youtu.be

 

 

いよいよここからが感想。前置き長かった。

前述したように、モーツァルトは一度も(映像でも)鑑賞したことがないもので、日本版との比較や細かい演出の話は一切できないのだけど、そんな超初心者に韓国版M!はどう映ったのか、という話をしてみます。と言ってもほぼキャストの話だけど…笑

 

まず、ガンヒョンさんのヴォルフガング、好みど真ん中だった。開始早々に「あ、これはやられた」とあっけなく降参した。具体的に言うと、1つ目に歌声。事前のMVやミニコンサートの映像でもいい声だなぁと思っていたけれど、芝居のなかで聴いても、実に気持ちよく通る声…!聴き心地がよくて、すっと馴染む。素人知識で感覚的な話しかできないけど、ロングトーンやビブラートもきれいで、でもパワフルさもあってグッと迫ってくる感じがたまらなかった。

そして2つ目に、実際見てみないと分からなかったお芝居。これが一番クリーンヒットしたというか…演技がナチュラルで、感情がどんどん乗っていくのが客席までダイレクトに伝わってくるような、個人的にとても好きなタイプのお芝居だった。表情の作り方もすごく良くて、父親に認めてもらいたい、愛情がほしい、となっているときの表情がたまらなかった。ヴォルフガングは後半こそ、孤独と戦い、命を削ってもがき苦しむ、そんなつらいシーンがつづくけど、前半の破天荒で自信家で、自由を求めて突っ走る若き青年の姿、ここが弾けてると余計に後半が際立つなと感じて。そのまぶしい無垢な青年としてのヴォルフを、ガンヒョンさんはすごく魅力的に演じているなぁ、と思った。登場シーンから超かわいいんだこれが。うろちょろしてて子どもみたい(笑)コンスタンツェとの出会いのシーンも天を仰ぐレベルでかわいかった……。そういう初々しさ、みずみずしさみたいなものが、もしかしたら今回初出演というのもあってうまく発揮できたのかな。こうなってくるとやっぱり他お二人も見たくなる。ウンテさん、ジュンスさん、それぞれキャラクターが全然違うと聞いて、3回券を買えたらベストだったなぁ(1公演が6,000円、3公演パッケージが9,500円て、よく分からない値段設定…笑

 

その他、思いついたことをざっと書き出すと、コンスタンツェ(見た回はキム・ヨンジさん)の強さもかなり好きだった。「ダンスはやめられない」は何度聴いてもしびれる。シャンパンのところ好き。そういや、子ヴォルフは基本あんなに出ずっぱりなんです…?日本版もそうなのかな。最後の最後まで重要な役割を担ってるんだな、と思わず感心した。あと、舞台セット!これキャストが見どころで挙げてたけれど、動く動く。上下するし、階段状にもなるし、立体感があって視界が飽きなかった。おまけにテンポがよく感じた。どんどん場面が変わる。これも共通?それとも今回の新演出だったりするのかな。とはいえ、じっくり魅せるところは魅せるし、空間大きく使って孤独を強調しているような場面もあって、おもしろかった。何度か観れば、注目する箇所がまた変わってくるんだろうな。

 

 

やっとモーツァルトを観れた、そして配信というかたちではあるけど、韓国ミュージカルに触れることができて、満足感・充実感がすごい。ありがたい機会だった。思い立ってチケット買って良かったな。映像が途中かなり途切れてしまって、いいところで止まったのもあって、そこだけもどかしかったけど…でもこればかりは、この作品に限らず難しい問題なんでしょう。カメラワークがとても良かっただけに、あぁ惜しい!ってなってしまった。ほんと、カメラの角度はいろいろこだわっているんだろうなと。総じて見応えがあった。

 

最後に、カーテンコールで目撃したやつを。

「黄金の星」(星から降る金)をキャスト全員で歌って、この時点で微笑ましくて感動的だったんだけども。幕が下りるギリギリのところで、ガンヒョンさんが子役ちゃんと並んで地面に顔つけるくらいの位置で手を振ってて、「かわいいな〜」と頬を緩ませてたら、最後の一瞬、腹ばいになった状態から両手で投げキスを無邪気に放ってきて、「!!!??ガンヒョンし〜〜〜!!!!!」となりました。あれは構えてないと(いや構えてても)うっかりときめいてしまうやつ…チャーミングにも程がある…ッ!

そんな彼のヴォルフガングが初見で良かった。と、たった一回の視聴ではあるけれど、これだけ楽しませてもらったので、心からそう思う。もう自分のなかでの基準がガンヒョンヴォルフです。今度はぜひとも、韓国でミュージカルが観れたらな。そう思いながら、買ったばかりの韓国語のテキストに取り掛かろうと思います。まだまだこの熱は冷めそうにないので。