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みたもの記録

「Life Goes On」を聴きながら

息つく暇もないような一週間が終わった。今に始まったことではないけれど、この慌ただしさには一向に慣れる気配がない。このままでいいのか、いいわけないよなぁ…と毎日ぐるぐるしながら、でも目の前のタスクは効率よく捌かなきゃいけない。成長とか目標とか、どうやったって今は気乗りがしない。頑張らないといけないのか?この状況で?ずっと足踏みをしたまま、時間だけが過ぎていく感覚。余裕がないと感情もうまく出せないんだなぁ、と実感することが多いここ最近だった。

 

そんな日々のなかで、BTSのニューアルバム「BE」がリリースされた。さっきようやく一通り聴いて、この作品を待っていて良かった、受け取れる自分で良かったなと心から思った。

 

youtu.be

 

リード曲「Life Goes On」のMVで、まずはメロディだけ聴いてみた。穏やかでやさしくて、ひたすらに心地よい。後半、自然と涙が出た。

 

アルバムを通してのテーマでもあるという、「Life Goes On」=「人生は続いていく」。世界が危機に直面し、ほぼ例外なく、皆が同じ恐怖や不安を抱えるなかで発されるこのメッセージの意味深さを思うと、とても言葉にはし尽くせない。

人生は続いていく。単純な人生讃歌ではなく、むしろ今を冷静に見つめた、地に足のついた曲であると思った。冒頭の歌詞なんかは特に。時間はもとに戻せず、ひとは進むことしかできない。誰もが平等で避けようのないこと。「人生」というと壮大なようでいて、でも結局は一日一日の積み重ねでしかなく、その一日をどう過ごすかは今までやってきたことと何ら変わらないんだよな、という気づき。そうした事実を受け止めて、自分の中にどうやって落とし込もうか。きっと、この状況下でたくさんの人が考え悩んでいることだろうし、私もその一人。

BTSが発する「Life Goes On」が、現実的であっても前向きな響きを帯びるのは、そうした多くの人々の気持ちを深いところで代弁してくれているからなのかな。共感というと簡単だけれど、2020年の今を共有している“私たち”。そこにはBTSの7人も、ファン(ARMY)も、世界中の聴き手も等しく含まれている。そう思うとなんだか心強いし、彼らをこんなに近くに感じられるアルバムは後にも先にも無いのかもしれない。今だからこその作品を、リアルタイムで受け取れること。すごい作品のリリースに立ち会ったのだな、と改めて思う。

 

そしてやはり思うのは、今まで彼らが繰り返し発してきた「Love myself」のメッセージとも確実にリンクしている、ということ。人生を前に進ませていくためには、どうしたって自分と向き合わなければならない。簡単な作業ではないし、ある意味一生つづくことでもある。そこまで考え込まなくても、もちろん何事もなく時間は流れていくけれど、少しでも自分自身を肯定できたなら、一生つきあっていくこの誰でもない“自分”をラクにできるのでは。もっと心地よく過ごせるのでは。ささやかでも、希望を持って生きていけるのでは。今回の「Life Goes On」のコンセプトが、「Love myself」のメッセージ性をより一層強めているようで、彼らのクリエイティブにおける一貫性に唸った。

 

最後の「I remember」もとてもグッときた。覚えているよ、忘れないよ、忘れずにいよう。寄り添う言葉だな、と思う。2020年が困難を極めた一年だったことは疑いようがなく、悲しみや苦しみが、年を越すことで消えるわけでは決してない。忘れたいこともあれば、忘れたくないことだってたくさんある。この言葉には、渦巻く感情をひっくるめて、「大丈夫だよ」と言ってくれているような、あたたかな温度がある気がする。

自然体な姿から一転して、ステージ衣装を着た7人が「I remember」と歌う姿からは、アイドルとして、アーティストとして、ステージで表現することを1日たりとも忘れた日はないんだよという思い、矜持みたいなものも感じた。楽しそうに無邪気に笑い合う姿も、ステージでまぶしいくらい輝く姿も、どちらも同じくらい大好きな7人の姿だ。

 

1曲目を聴いてまずは思ったことを書き出してみた。繰り返し聴くことで、どんどん違う解釈も生まれそうだし、他の曲ともあわせて、もっと感じることもある気がする。こういうことができるから、アルバムって楽しいよね。

 

本当は下書きに控えているテキストがもう一つあるけれど、こちらは年内に表に出せたらいいな、という感じ。BEを流しながらまとめることにしよう。

 

それでは、良い週末を。